
とある企業ミュージアム様のお仕事。
今回させて頂いたお仕事の中で、おいらが特に一番楽しかったもの。
これ、ミニカーの展示ケース。
まず、プランナーさんとの喧々諤々6か月。
最初はケースの図面などない。
「少しでも多くのダイキャスト(ミニカーの事)を展示したい!」
「何台あるの?」
「800台?、もしかしたら1000台超えてるかも」
「・・・・・さて、どうしたものか?・・・」
ただ並べればいいわけではない。それではただの「陳列」。
おいら達がしなければいけない事は「展示」。
さて、どうしよう。
来館者の皆さんを頭の中で想像する。
親子連れ、車マニア、なんとなく観光で来た人、
展示をする学芸員の先生方を想像する。
少しでも展示作業をやりやすく。
先生方の想いを表現しやすく。
喧々諤々、喧々諤々、
紙の上でどんどん描いていく。
「これで作れる?」
「作れるけど、小学生は見にくいですよね。」
「じゃあこれは?」
「先生方、演示作業やりにくいですよね。」
喧々諤々、喧々諤々、
「じゃあこれは?」
「お、いいかもですね。けど・・・・実寸だと、どう見えてくるですかね?」
ミーティングルームの周りを見渡すと、そこに別件で試作したケースがポツン、と。
試作ケース君から心の声が・・・「僕の事使ってくれてもいいよ・・・」

ペタペタペタペタ。
ケースのガラス面にテープで実寸描いて(貼って?)しまえー。
「子供達にかぶりつきで見てもらいたいですよね」
「だったら、ここは角度をつけて・・・」
ペタペタペタペタ。
「子供と大人が一緒に同じものを見られるといいですよね・・・」
ペタペタペタペタ。
「よーし、これだー」
「了解!おいら、作る図面描きまっす!」
「さて、ココは金属の板をこう加工して、ココはこうやって・・・」
「うーん、このガラスはどうやって加工しよう、ココの配線は・・」
「ココの溶接は、この木工は・・」
おいらの専門外の設計が・・・
「ねぇねぇ〇〇さん、このガラスって・・・」
「おい、△△くん、悔しいけど教えて。ここの溶接って・・・」
自分が不得意なところは、そこが得意な人の知恵を拝借。
それでも不安な場合は、「実験!試作!」
そんなこんなで、
図面、でけたー。

1つめは「自分は仲間に生かされている。そして仲間を生かしている一部」
この仕事でもそうなんですが、仕事を進めていく中で、仲間と相談したり、
教えてもらったり、教えたり、の作業が繰り返されます。
その仲間がいてくれなければ ,仮に自分が99.9%の仕事をしていたとしても、
残りの仲間のおかげの0.1%がなければ仕事は完成しないんです。
つまり「0」になってしまう。
これって、忙しい人や、成果をあげている人ほど勘違いしやすいのかな?
おいらも昔、「何でオレがこんなにやってるのに!!!」ってよくありました。
けど、そうなった時の仕事はあんまりうまくいかないんですよね・・・
だから、仲間に対しては素直に「ありがとう」「ごめんなさい」「教えてください」
を素直に言えるように。そうすれば、自分の仕事がもっとうまくいくようになるんです。
そして、そこに関わってくれた皆さんが「大変だったけど、楽しい」って言ってくれるんです。
2つめは「ハードを売るな。ソフトを提供しよう」ってよく言います。
おいらは子分達に「何を見て(思い浮かべて)仕事してるの?
って聞きます。
時々、「誰かに言われたからこうしました」っていう人がいる。
それって、作業としては一番簡単かもしれないけど、おいらはそれできない。
「お客様の気持ち想い」を考えちゃうし、聞きたくなっちゃう。
ココがわかれば、「もっとこうしたほうがいい」がたくさん出てくる。
今回のお仕事でいえば、「学芸員の先生」「来館者のお客様」の事を想像する。
それを設計に反映させる。これがおいらの言うところの「ソフト」なんですよね。
はっきり言ってこれはかなり手間自体はかかります。
だけどね、これが「楽しいんですよ!」
しかも、お客さんがこのケースを最初に見てくれた時の顔。
お客さんにいい顔で「ありがとう」なんて言われちまうと、
もっと嬉しくなっちゃうけど、同時にちょいとだけ「ゴメンナサイ」って思ってしまう。
正直言うと、どの仕事でもほぼ必ず「あ~、この部分はしておけばもっと良かったのに」
って思うことがあるんです。
けど、きっとこれが「経験」というもので、「次の目標」になるのかな。
だから、また次もやりたくなっちゃうんでしょうね。
おいらの子分達や仲間たちにも、これを知ってほしいでござるよ。
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